昨夜の米PCE価格指数は、無難に通過した。
そして今朝。ノーポジで迎える5/29、僕のチャートには「方向は上、でも今は買わない」という、一見矛盾した答えが映っている。なぜ上昇バイアスなのにエントリーを見送るのか。今朝はそこを、期待値で丁寧に解いていきたい。
1. 昨夜のPCE——予想通りで、コア前月比は鈍化
昨夜21:30に発表された米4月PCE価格指数は、こうだった。
| 指標 | 結果 | 予想 | 前回 |
|---|---|---|---|
| コアPCE 前年比 | 3.3% | 3.3% | 3.2% |
| コアPCE 前月比 | 0.2% | 0.3% | 0.3% |
| ヘッドラインPCE 前年比 | 3.8% | 3.8% | — |
ヘッドラインの3.8%は2023年5月以来、約3年ぶりの高水準。インフレ圧力が依然として高いことを示した。しかし予想通りだったため、為替に大きなサプライズはなかった。
むしろ注目されたのは、FRBが最重視するコアPCE前月比が0.2%と予想(0.3%)を下回って鈍化したこと。これが「インフレのモメンタムは弱まりつつある=利下げ観測やや前進」と受け取られ、ドル売りがやや優勢に。USDJPYは159.30台へ振れた後、159.459へ戻して木曜を終えた(セルザファクト=材料出尽くし)。
2. 一晩で起きたこと——159.14まで軟化、そして159.26へ戻し
PCE通過後の159.459から、アジア時間にかけてドル円はじりじりと売られた。
| 時刻 | USDJPY | 動き |
|---|---|---|
| 5/28 23:05 | 159.459 | PCE通過後・レンジ回帰 |
| 早朝(夜間安値) | 159.14近辺 | 約-30pips 軟化 |
| 5/29 8:00 | 159.227 | 下げ一服 |
| 5/29 9:30 | 159.266 | +約4pips 戻し |
夜間に一度159.14近辺まで下押ししたものの、159.000台前半の「深い押し目」までは届かず、159.26へ反発。クロス円(CHFJPY 203.15→203.22)もほぼ横ばいで、PCE通過後らしい小動きだった。
ここがポイントだ。僕が待っていた「159.000台の深い押し目買い」は、来なかった。
3. 9:30 MTFテクニカル一覧——下位足が一斉に上向き転換
8:00から9:30にかけて、時間足の表情がはっきり変わった。
| 時間足 | RSI | MACD | Signal | MACD差 | 状態 |
|---|---|---|---|---|---|
| M5 | 55.78 | 0.0114 | 0.0107 | +0.0007 | 🟢GC継続(短期上向き) |
| M15 | 54.70 | 0.0034 | -0.0068 | +0.0102 | 🟢ゼロ上に浮上・GC加速(8:00は-0.0088) |
| H1 | 44.85 | -0.0534 | -0.0548 | +0.0014 | 🟢GC初動に転換(8:00はDC-0.0588) |
| H4 | 52.13 | 0.0837 | 0.1316 | -0.0479 | 🔴DC・モメ鈍化(上昇トレンドの押し) |
| D1 | 56.17 | 0.2528 | 0.1196 | +0.1332 | ⚡GC・上昇基調維持 |
読み解くと——
- M15とH1が、下げ一服から上向きに転換した。8:00時点ではM15もH1もMACDがマイナス側でデッドクロス気味だったが、9:30には両方ともゴールデンクロスの初動に切り替わった
- D1は上昇基調を維持、H4は上昇トレンドの中の「押し目」局面
- 大きな流れ(D1・H4)は上、その中で下位足が反発に転じている
つまりバイアスは明確に「上」。だったら買えばいい——と思うところだが、ここで価格の「位置」が問題になる。
4. 価格マップ——159.300の壁が目の前にある
| 価格 | 距離 | 役割 |
|---|---|---|
| 160.000 | +73pips | 🔴 介入警戒ライン |
| 159.300 | +3pips | 🟡 直近レジスタンス(上抜け定着の鍵) |
| 159.290 | --- | 現在Ask |
| 159.266 | --- | 🔵 現在Bid(ノーポジ) |
| 159.16 | -10pips | 本日安値(浅い押し目候補) |
| 159.000 | -27pips | 🎯 深い押し目買い候補圏(来なかった) |
| 158.748 | -52pips | 5/25月曜安値 |
現在値159.266は、159.288〜159.300の強レジスタンスの、すぐ真下にある。上値の余地がほとんどない。ここから飛び乗って買っても、3pips上にすぐ壁がある。
上昇バイアス × でもレジ直下——この組み合わせが、「方向は合っているのに、今は買えない」状況を作っている。
5. 期待値計算——4つのシナリオ
現値159.27を起点に、期待値を計算する(伝統的pip)。
| シナリオ | 内容 | 勝率 | 期待値 |
|---|---|---|---|
| A:今すぐ追っかけ買い | 159.27→TP159.40(+13)/SL159.14(-13) | 45%(レジ直下) | -1.3pips(マイナス) |
| B:159.300上抜け定着後の押し目買い | 159.29→TP159.45(+16)/SL159.18(-11) | 60% | +5.2pips(最大)⭐ |
| C:159.18-20の浅押し目を指値 | TP159.32(+13)/SL159.08(-11) | 55% | +2.2pips |
| D:様子見 | — | — | 0 |
A(今すぐ買い)は期待値マイナス。上値が近すぎて、TPに届く前にレジで跳ね返される確率が高いからだ。「届かない遠い場所」にTPを置くのと同じ構図になる。
期待値が最大なのはB。159.300を一度しっかり上抜けてしまえば、その壁が今度は「支え(サポート)」に変わる。上抜けを確認してから乗れば、勝率も上値余地も上がる。
6. 具体的にどう動くか——「上抜け定着 → 押し目買い」3ステップ
「159.300上抜け定着で押し目買い」を、実際の操作レベルまで落とすと、こうなる。
ステップ1:上抜け「定着」を確認する
159.300をM15(15分足)の終値で明確に超えること。一瞬ヒゲで超えてすぐ戻すのはダマシなので除外。目安はM15が159.32以上で1〜2本確定したら「定着」と判断する。
ステップ2:押し目(リテスト)を待つ
上抜けてもすぐ飛び乗らない。いったん159.30付近まで下げて、そこで支えられる動きを待つ。159.28〜159.30で下げ止まり・反発を確認する。
ステップ3:エントリー(買い)
- エントリー:159.29〜159.30
- 損切り(SL):159.18(約 -11pips)
- 利確(TP):159.45(約 +16pips)
逆に、159.300を上抜けないまま159.16を割れて159.000台前半まで下げたら、今度は「深い押し目買い」のチャンスが来る。どちらに転んでも、僕の入り方は「買い」だ。 ただし、その「場所」が来るまで待つ。
7. 今朝の答え——「上昇バイアスでも、待つ」
今朝の僕の選択は、昨日と同じく何もしないこと。
| 時刻 | アクション |
|---|---|
| 8:00 | 朝定点。ノーポジ確認 |
| 9:30 | 追加定点。下位足の上向き転換を確認・D判断 |
| 13:00 | 昼定点。159.300上抜け定着があるか再評価 |
| 20:00 / 23:00 | 夜定点。エントリー機会の有無を確認 |
方向は上を向いている。でも、飛び乗るには場所が悪い。レジ直下の追っかけ買いは期待値がマイナスだ。
「期待値で勝つ」とは、勝てる方向が分かっていても、勝てる場所が来るまで動かないということでもある。159.300という壁を、相場が自分の力で超えてくれるのを待つ。超えたら、押し目で順張りに乗る。
これが、ノーポジで迎えた金曜の朝の、僕の答えだ。
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