公開日:2026-05-04
カテゴリー:学び
70.11から23.06へ──7時間の急落
4月30日の13時、H4のRSIは70.11だった。
FXの世界では、RSI 70以上は「過熱圏」と呼ばれる。買われすぎ。そろそろ下がるかもしれない、というサインだ。
7時間後の20時、同じH4のRSIは23.06になっていた。
70.11から23.06。47ポイントの急落。過熱圏から売られすぎ圏へ、たった7時間で完全に反転した。
RSI 23は「売られすぎ」だ。教科書には「反発が近い」と書いてある。でも僕らはそこで買わなかった。
この記事では、RSIとは何か、なぜ「売られすぎ」でも買わなかったのかを書く。
RSIとは何か
RSI(Relative Strength Index、相対力指数)は、一定期間の値動きの中で「上昇の割合」がどれだけあるかを示す指標だ。
値は0〜100の範囲で動く。
- 70以上:買われすぎ(過熱圏)
- 50:中立
- 30以下:売られすぎ
僕らが使っている設定はRSI(14)。直近14本分のローソク足で計算する。MT4のデフォルト設定と同じだ。
計算の仕組み(ざっくり)
RSIは、過去14本のローソク足の中で「上がった分」と「下がった分」を比べる。
- 14本すべて上がった → RSI = 100
- 14本すべて下がった → RSI = 0
- 半々 → RSI = 50
つまりRSIが高いほど、直近は上がり続けている。低いほど、下がり続けている。
3つのゾーン
過熱圏(70以上)
「これだけ上がり続けているのだから、そろそろ一服するかもしれない」という警告。売りのサインではなく、新規買いのリスクが高いというサイン。
4月30日13時、H4のRSIが70.11に達した。僕らはこれを見て「ここから買うのはリスクとリターンが合わない」と判断した。そしてその判断は正しかった。
中立圏(50付近)
RSI 50は「上がる力と下がる力が拮抗している」状態。トレンドの方向が見えにくい。
5月2日、暴落後初めてH1のRSIが50.17に到達した。これは「暴落からの回復が一定レベルに達した」マイルストーンだった。ただし50到達は「もう安心」ではなく「ようやくスタート地点に戻った」程度の意味だ。
売られすぎ圏(30以下)
「これだけ下がり続けているのだから、反発するかもしれない」という警告。買いのサインではなく、突っ込み売りのリスクが高いというサイン。
4月30日20時、H4のRSIが23.06。5月1日朝には23.59。「売られすぎ」は2日間続いた。
なぜ「売られすぎ」でも買わなかったのか
ここが最も重要なポイントだ。
4月30日の20時、H4のRSIは23.06。教科書的には「売られすぎだから反発が近い」。でも僕らは買わなかった。
理由1:「売られすぎ」は「底」ではない
RSIが30を下回ったからといって、すぐに反発するとは限らない。売られすぎの状態が何時間も、何日も続くことがある。
実際、H4のRSIは4月30日20時に23.06を記録した後、5月1日も23.59→31.72→29.69→27.63と推移した。日中に一時30を回復しても、ロンドン時間にまた30以下に押し戻される──30前後の低水準が約2日間続いた。
RSI 23で買っていたら、さらに下がって156.377まで押される場面に遭遇していた。
理由2:MACDがデッドクロスだった
RSIが「売られすぎ」でも、MACDが全時間足でデッドクロス(DC)なら、下落トレンドは継続中だ。
RSI単体で売買を判断しない。MACDの方向、チャートの形、経済指標と組み合わせて初めて判断できる。
理由3:暴落の原因が解消されていない
テクニカル指標は「今の値動きの状態」を教えてくれるが、「暴落の原因」は教えてくれない。4月30日の暴落は介入連想の動きで、そのリスクが消えたわけではなかった。
僕らの使い方
時間足ごとのRSIを並べて見る
MACDと同じく、RSIも複数の時間足で見る。
4月30日暴落後のRSI推移を見てみよう。
| 日時 | H1 RSI | H4 RSI | D1 RSI | 状況 |
|---|---|---|---|---|
| 4/30 13:16 | 65.71 | 70.11 | 62.32 | 暴落前(過熱圏) |
| 4/30 20:15 | 13.02 | 23.06 | 36.12 | 暴落直後 |
| 5/1 8:00 | 25.47 | 23.59 | 36.28 | 翌朝(売られすぎ継続) |
| 5/2 8:00 | 50.17 | 35.92 | 39.16 | H1が50到達 |
| 5/4 8:21 | 45.55 | 34.14 | 38.10 | 週明け(50維持失敗) |
ここから読み取れること:
- H1のRSIは最も早く回復する。暴落後2日でH1だけが50に到達した
- H4のRSIは回復が遅い。暴落後5日目でもまだ34.14(30台)
- D1のRSIは大きく動かない。36〜39の狭い範囲で推移。日足レベルでは「やや弱い」が定着している
RSI 50のラインに注目する
僕らが特に注目しているのはRSI 50だ。
- RSI 50を上回る → 短期的に買い勢力が優勢
- RSI 50を下回る → 短期的に売り勢力が優勢
5月2日にH1のRSIが50.17に到達したのは、暴落後の重要なマイルストーンだった。しかし5月4日には45.55に戻ってしまった。50到達と50維持は別物だ。
RSIとMACDの使い分け
前回の記事でMACDを解説したが、RSIとの違いをまとめておく。
| RSI | MACD | |
|---|---|---|
| 見ているもの | 値動きの強弱(0〜100) | トレンドの方向と勢い |
| 得意なこと | 過熱/売られすぎの警告 | トレンド転換の検出 |
| 反応速度 | やや速い | やや遅い(遅行指標) |
| 僕らの使い方 | エントリーの可否判断 | トレンドの方向確認 |
RSIで「今、過熱していないか」を確認し、MACDで「トレンドの方向は合っているか」を確認する。両方がOKの時だけエントリーする。
4月30日の13時、MACDは今月最強の買いシグナルだった。でもRSIが70を超えていた。だから買わなかった。片方だけでは判断しない。
まとめ
- RSIは値動きの強弱を0〜100で示す指標。70以上が過熱圏、30以下が売られすぎ圏
- 「売られすぎ」=「買い」ではない。売られすぎの状態は何日も続くことがある
- RSI 50が重要なライン。50を超えれば買い勢力優勢、50を割れば売り勢力優勢
- RSI単体で判断しない。MACDの方向、チャートの形、経済指標と必ず組み合わせる
4月30日、RSIは「過熱」と教えてくれた。僕らはその警告を聞いて買わなかった。暴落後、RSIは「売られすぎ」と教えてくれた。でも僕らはそこでも買わなかった。
指標が「買い」と言っている時に買わない勇気。それがRSIを使いこなすということだと、暴落の週に学んだ。
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